『自分を愛する力 』乙武洋匡
「自己肯定感」をテーマとした本を読みました。
同じ「障害者」と言っても、
うちのボンズと乙武さんではジャンルがまるで違います。
なので、「参考に」というより、
「五体不満足」「だいじょうぶ3組」と続けて読んで、
さらにテーマが「自己肯定感」だったので、
子どもたち・・・
特にコッコ(ボンズの姉、11才)に対して「自己肯定感を育ててあげられているか、むしろ破壊している?」と常日頃不安なために食いついた、という感じです。
読んでみて、非常~~~に読みやすく、
しかも全文アンダーライン必須(笑)なくらい、
易しくて、大事な文章満載でした。
乙武さんが「息子」という立場から振り返った第1章では、
乙武さんのご両親がいかにすばらしい人だったか、
またすばらしい教師に出会えたかが書かれています。
生後1か月後にしてようやく出会えたお母さんが、
いきなり愛情全開だったこと。
「おはよう。今日も愛しているぜ!」と朝の挨拶をする、
昭和16年生まれのお父さん。
このベースがあって、この乙武さんの人生はこうして順風満帆に(傍目には)歩んでこられたのだなと納得です。
そしてお母さんの、「周囲に障害を隠さない生活」に対する考え方は、
非常~~~に納得と親近感を覚えます。
ベビーカーに息子を乗せていると、
すれ違う人がみんなすごい視線・・・だから、
遠くに行く時は義手、義足をつけて、
近所を歩く時は、そのままの姿で過ごすという方法を選ばれた心境は、
障害のジャンルが違っても、「なるほど」と思えます。
でも、勇気がいるんですよねぇ。
周囲の視線に耐えるのって、一朝一夕でできることじゃない。
さらにどうして「褒めて育てる」ことを、
昔から一貫して通してこられたのか? という乙武さん本人の問いに対する、
お母さんの「それはあなたが障害者だったからかもしれない」という気持ちも、
思わず、
「わかる!!」
と、うなりそうでした。
最初からできないことがベース。
なので、ちょっとでもできるようになると「べた褒め」な状況・・・になっちゃうんですよねー。
うちのボンズが褒められまくっていて、
反対にもっといろんなことができる姉ちゃんに対して褒められることが少ないのは、
そういうことなのよ~~~~と、
反省を込めて納得しました(^^;
第2章では、乙武さんが教師として子どもたちに「自分で考える」「成功体験をつませる」ことに徹した経験談が書かれていて、これもすばらしい姿勢だと思いました。
その場だけ、
もしかしたら1年だけの付き合いかもしれない生徒たち。
生徒が「嫌だ」と言えば、「そっか」とスルーしてしまうこともできるのに、
それをしないのは、教師の愛情なのです。
それがたとえ子どもにとって厳しい、つらい経験であったとしても。
これも、乙武さんの実体験から生まれた確信なんですね。
第3章で初めて乙武さんの弱音が吐かれています。
五体不満足で生まれたことにネガティブになったことのない彼が、
教師になって、父親になって初めて、
「自分に手足があったら」
と落ち込み、そしてそれは掛ける言葉の見つからないほどのつらさとなって記されています。
そしたら、奥様がこれまたすばらしい人でしたね。
五体満足なお父さんだって、育児にそんなに手を出してるわけじゃないみたいよ?
と、おっしゃるんですよ。
お父さんの役割って、授乳やおむつ替え、沐浴ばっかりじゃないんですよね。
生きる背中を見せて、
例え言葉は多くなくても、
子どもって親の姿をじーっと見てますから、
きっと、お仕事をして、帰ってきて話を聞いてくれるだけで、
そして子守唄を歌ってくれるだけで(笑)←なぜ笑うかは本文で
子どもはお父さんのありがたみとか素晴らしさを実感できるんだと思います。
うちも「お父さんは家庭でどうすべき、どういう存在なのか」はわかりません。
だけど、乙武さんのように、オムツをいかに換えたか、何回お風呂に入れたか、だけじゃない「父親にしかできない」育児ってあるんだろうな~と思いました。
その証拠に、息子さんたちがとてもいい感じで育ってます。
・・・書き出したら止まらなくなって、
ネタばれの連続しそうなのでやめときますが(笑)
うちの好きな(読みやすい)文庫で、
非常に読みやすく、しかも読み返したくなる一冊でした。
まだ読んでない方には、ぜひともおすすめしたくなる一冊(久々!)でした♪
![]() | 自分を愛する力 (講談社現代新書) (2013/03/15) 乙武洋匡 商品詳細を見る |
テーマ : 発達障害(自閉症、アスペルガー、LD、ADHD、発達遅滞)
ジャンル : 育児